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運動量の多いトレランこそ、インソールで走りが劇的に変わる
インソールメーカー・BMZ(ビーエムゼット)とYAMAPが、トレランのために共同開発したインソール「山を走るインソール」。
インソールといえば、基本的には購入したシューズにもともと入っているパーツ。ギアにこだわるトレイルランナーといえど、「変える必要あるの?」と思うかもしれません。
しかし、インソールをインソール専用メーカーのものに変えるという“隠しコマンド”は、スキーやサッカーといったさまざまなスポーツに打ち込むトップアスリートのあいだでは珍しくないと言います。
「パフォーマンスを向上させたい」「より快適に走りたい」というエキスパートだけでなく、「トレランの後はいつも膝に痛みを感じる」「長距離になると大幅にペースダウンしてしまう」といった悩みを持つ初心者まで、ぜひとも試していただきたいアイテムです。
BMZのインソールでしか「足の屋台骨」は支えられない
人間には全部で206個の骨があり、その約1/4となる52個が足に集中しています。足はそれほど複雑な構造をしており、これらの骨が組み合わさって足の裏にアーチを作ります。いわゆる土踏まずで、アーチ(橋)のように弧を描くことで(より正確には実際にはハーフドーム形状に近い)、着地の衝撃を吸収しているのです。弧を描く形状の橋が人や乗り物の重みに耐えられるのと似た原理ですね。
ところがトレランで激しい着地を何度も繰り返すと、足裏の筋肉が動きにくくなってしまい、それによってアーチも落ちこみ、アーチとしての機能を十分に果たせなくなってしまうのです。
BMZのインソールは、片足に26個もある骨のうち「立方骨」と呼ばれる骨を支える設計になっています。この設計は「Cuboid balance理論」として特許を取得しており(Cuboidとは立方骨のこと)、その上にはアーチを形成する骨々がドームのように覆いかぶさります。たとえるなら、足裏のアーチ全体の要石、あるいは屋台骨にあたる部位。この大事な立方骨をインソールでサポートすることで、複雑に重なり合ったアーチ全体の落ちこみを防ぎ、足が本来持っている機能を助けることができるのです。
巷には土踏まず全部を持ち上げて支えようとするインソールもありますが、BMZのインソールで支えるのは立方骨のみ。土踏まずのアーチを埋めて完全に固定してしまうと、遊びや “しなり”が損なわれ、動かしにくく、かえって負担になりかねないのだそうです。
大きな力やバランスをつかさどる「外側のアーチ」もサポート
土踏まずは足の内側にありますが、立方骨は足の外側、薬指と小指の延長線上に位置します。それでも“屋台骨”たる立方骨を支えることで内側のアーチまでサポートされるというのは前述の通り。
加えて一般にはあまり認知されていませんが、足の外寄りにも「外側アーチ」が存在します。こちらは大きな力に耐えたり、バランスを保持したりする機能があるとか。
部屋の中で転ぶ真似をして、壁に手をついて体を支えるとしましょう。小指側からついたほうが支えやすくありませんか? また、かなづちや野球バット、ゴルフクラブのスイングなども小指側に力を入れますよね。
不整地、かつ傾斜のあるサーフェスを走るトレランでも、外側のアーチは非常に重要なのです。BMZのインソールはこちらもしっかりサポートします。
足指で大地を掴み、大きな筋肉で走ってトラブルを予防
「山を走るインソール」では、100マイルの完走本数で日本一を誇る井原知一さんをアドバイザーに迎えて共同開発をしました。
ランニングコーチとして多くのトレイルランナーを導いてきた井原さんの「脚の大きな筋肉、コアの筋肉を使って走れないと、トラブルに繋がりやすい」というアドバイスを受け、「山を走るインソール」にはBMZで「アシトレ」と呼んでいる機能を盛り込むことに。
「アシトレ」は立方骨にプラスしてかかとの骨の前部も支える構造になっており、シューズの中でも足の指をしっかり動かせるようになっています。さらに、足の指の付け根にパッドを配置して、足の指が自ら積極的に地面をとらえやすいよう促しています。
こちらも手でイメージすると分かりやすいのですが、大きな筋肉を使って力を込めるには指を握る動作がカギになりますよね。
また、かかと部分にヒールカップを配することでフラットにし、かかとのフィット感も向上。足先まで力を入れやすくなります。
このインソールを使い続けることで、足指で地面を掴むような感覚が得られるようになるでしょう。ひいてはすねやふくらはぎ、また脚全体のコアにある大きな筋肉が使いやすくなります。限られた筋肉に頼って走ることによるケガ、故障のリスクの低減を狙っています。
メリットはそれだけに留まらず、「登り坂でパワーを伝達しやすくなる」と井原さん。また「足指やアーチを使えていなかった人ほど、最初は違和感があるはず。でも早い人で2回目、おおむね1週間ほどで慣れる」とのこと。徐々に足指が使えるようになってくるということでしょう。
「アシトレ」といっても、休眠していた足指を使えるようにするトレーニングなので、慣れてしまえば筋トレのような負荷がかかるわけではありません。
ほかにも井原さんによる1000km超のテストランによるフィードバックから、インソール本体と表面にはEVA素材(合成樹脂)を採用しました。
同じEVAでも、インソール本体(黄色い層)は、柔軟性に優れ、耐久性と耐候性もありとても軽量。弾力性も高く、衝撃を吸収してくれる高品質素材を採用しています。表面材のEVA(黒い層)は、足なじみがよく、シューズの中で足が滑りにくいのが特徴です。
また、疎水性も高いので、インソールが水を吸って靴が重くなることもありません。さらに、通気性を考慮してインソールに1mmの孔を設けています。砂利や砂が溜まらないよう、「山を歩くインソール」よりも孔のサイズを小さくし、そのぶん全面に配置して孔を数倍に増やしています。
EVAの弱点としては、適度な弾力を備えている反面、内部の気泡が徐々につぶれてヘタるので、4~500kmの走行で買い替え時期が来てしまうこと。一般的なトレイルシューズの寿命と同等です。
立方骨を支える仕組みやアシトレ構造のフォースパッドによる凹凸はありますが、かかとのヒールカップにより全体のプロポーションはつま先とかかとでの高低差のないフラット形状。足本来の機能をジャマしないようにするためで、一般的なインソールより薄いくらいかもしれません。
インソールの使用方法はいたってシンプル。まずは、元々入っているインソールを取り外して入れ替えます。ハミ出すような部分は適宜ハサミでカットしてください。大体のインソールが取り外しできる構造となっているはずですが、インソールが接着されていた場合は、ご自身の責任にはなりますが、ベリベリッと剥がして取り外します。
「山を走るインソール」に入れ替えることで、立方骨を点で支えて足裏のアーチを保持。足本来の機能を引き出すことで、トレランでの「安定した足運び」と「歩数を重ねた際の疲れや痛みの緩和」をもたらします。これはケガの予防にもつながるということ。
インソールを専門メーカーのものに変えて、トレイルをより安全かつ快適に駆け抜けてみませんか。
ブランド |
BMZ(ビーエムゼット)
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名称 |
YAMAP別注 山を走るインソール /UNISEX
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素材 |
表面:EVA インソール:高反発EVA
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サイズ |
XS:21.0 - 22.5cm S:23.0 - 24.5cm M :25.0 - 26.0cm L :26.5 - 27.5cm XL:28.0 - 29.0cm
※サイズに幅がありますが、インソールの裏側に切り取り線があり、ご自身の足のサイズに合わせて切り取って調整が可能なためです。
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重量 |
60g |
原産国 |
韓国 |
カラー |
ブラック |
注意事項 |
本インソールを使用すると、はじめは筋肉痛になることがあります。これは普段使っていない筋肉を使っている証拠です。
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