メインクエスト
メインクエスト ~バークレーマラソンズに導かれし者たち~
「悪魔のレース」と呼ばれるレースがある。
今作はその極めて完走し難いレースに挑戦し続ける男のドキュメンタリーフィルム。
男の名は井原知一(いはらともかず)、通称TOMO。
100miles100times
生涯で100マイル(160km)を100本完走することを目標に掲げ、目下70本完走している日本屈指のプロトレイルランナーだ。
そんな実力者のTOMOが3度挑戦しても未だ完走できていないレース。それこそが悪魔のレース、「バークレーマラソンズ」なのだ。
キング牧師を殺害した凶悪犯の脱獄劇から生まれたこのユニークなレースは、制限時間内の完走はもちろん、随所に隠された本を探し出せという謎めいたルールまである。宝探しあり、冒険あり、だが最後には脱落者の嵐となるレース。完走者は過去36年間でわずか15名、参加者のわずか1%にも満たない。
今年もまた幾多のトップランナーが「バークレーマラソンズ」の餌食となっていく。
TOMOにとっては4度目の挑戦。
まさに今、彼のメインクエストが始まる。
悪魔のレース バークレー・マラソンズ
バークレー・マラソンズは毎年テネシー州のフローズン・ヘッド・ステート・パークで開催されている。参加者は60時間の間に、1周約20マイル(約32km)のコースを5周する形式が取られ、合計で100マイル(160km)走ることになる。
GPS付腕時計や携帯電話の持ち込みは禁じられており、コンパスだけを頼りに渡された地図を使ってコースマーキングのないルートを辿る。ランナーたちは、走るだけでなくコース上にある9冊から14冊の本(本の数は毎年異なる)を見つけ、自分のビブナンバーにあたる本のページを切り取って持ってくることが求められる。
1986年に第1回が開催されて以来、延べ1,000人以上ランナーたちがスタートしたが、制限時間内に完走したランナーはわずか17人しか存在しない。
このレースはその極端な難易度と多くの特異性で知られ、「悪魔のランニングアドベンチャー」と呼ばれることもある。
異端爺 ラザラス・レイク
バークレー・マラソンズは、ゲイリー・"ラザラス・レイク"・カントレル(ラズ)とカール・ヘン(ロウ・ドッグ)が発案した。ラズは、1977年にマーティン・ルーサー・キング・ジュニアの暗殺者であるジェームズ・アール・レイが、近くのブラッシュマウンテン州立刑務所から脱走した末に失敗したことを知り、レースを思いつく。
囚人レイは、昼間の空中捜索から隠れるために森で54.5時間走ったものの、12マイル(19km)進むのが精いっぱいだった。ラズは「俺なら少なくとも100マイルはできるだろう」と豪語した。こうしてバークレー・マラソンズが誕生し、1986年に第1回が開かれた。
バークレー・マラソンズのコースは、第1回から何度も距離、コース、標高が変更されており、完走者が出る度にコースの難易度が高まると噂されている。100マイルの制限時間は60時間であるが、周回ごとにも制限時間が存在し、間に合わなければ失格となる。
バークレー・マラソンズの開催時刻は決まっておらず、レース当日の真夜中から正午の間のどこかである。ラズが法螺貝を吹き、その1時間後に彼がタバコに火をつけるとそれが正式なスタートの合図となりレースが始まる。
メインクエスト~バークレーマラソンズに導かれし者たち~
出演 井原 知一
監督/編集 上原 源太
プロデューサー 藤巻 翔
撮影 井上 典慎, 藤巻 翔
音楽 novsemilong
語り手 上原 源太
ナレーション 福田 ゆうあ
デザイン 井口 創
スチル 藤巻 翔
翻訳 中島 良平
1月7日午前0時より以下にて配信公開(有料)