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憧れのKOUMI100

憧れのKOUMI100 

 

 夢のようなひと時が終わった。 

 

今年のウルトラトレイルマウントフジで初の100mileを完走して次の目標をLB100(レイクビワ)と決めていた。しかし、LB100のエントリーでまさかの落選となってしまい秋のレースと目標を失いかけていた。他の100mileレースを探すものの身の丈にあったレースが見つからずにいた。そんな時、コーチであるトモさんに相談したところKOUMIはどうですか?との提案があった。自分が知っているKOUMIといえば天候不順で周回コースによりメンタルが削られエリートランナーでもDNFして完走率も低い難レースという印象。そんなレース自分にはハードルが高すぎるて完走できるわけがない!と思っていたが、コーチから頑張っていきましょう!と言われ、やれるとこまでやってみようという気持ちになった。

 

7月から KOUMI 対策でトレーニングを続けてきて、レース前になっても今一つ十分にトレーニングができないと感じる自分がいてモヤ モヤしていた。 ペーサーをやってくれる凪さんと同じTomos Pitの仲間のみっちゃんと試走に行けたことはすごく良かったと思うが、周回した時の負荷具合と実際の周回タイムに開きがありそこでまた不安の種が生まれた。 コーチとのミーティングでもそのことを伝えたが、コーチは黙って聞いてくれていた。それは多分レースの結果が示してくれると言いたかったのではないかと感じた。そういった状況なので、レース前は不安と緊張の日々が続き、まさにチキンハートな状態だった。

 

レースの前日は受付けを済ませ早めに宿に入り20 時には寝れたと思う。受付けを済ませた後にサポートしてくれる二人と凪さんにお 会いして事前の打ち合わせを済ませた。その中でサポートの一人塚崎さんが夜の1時に 駐車場に並んでくれるといってくれて実際に駐車場所はコースに一番近いポールポジションの位置取りとな っていて感動した。 

いよいよスタート、コーチも来てくれて緊張がほぐれていく。コーチに調子を聞かれた、バッチリですと言えなかった、「4周行ければいいですね」と自分が言うとコーチは「最初から負け試合しないようししましょう」と窘められた。コーチからスタート前に「とにかく下りは飛ばさないこと」と言われた。あとはやるだけということでいざス タート。1 周目はきつかったという印象だった、後で振り返るとやはり前後にランナーがいてなかなか自分の ペースで進めないことが起因しているのではないかと思った。それでも雨はまだほと んど降っていなくてペースも悪くなかったので途中でウインドシェルを脱いでTシャツで 走れた。コース内のエイド間タイムも悪くなかったし体の負荷もそれほど感じなかったので調子が いいのかな?と思ったりしたが、スタート前にコーチが「調子がいいと思ったらそれは 気のせいだから!」という言葉が浮かんで、自分にダメだダメだと言い聞かせ特に下りはゆ っくりと余裕をもって走ることを意識した。 

1周目タイム  6:03:41
自分の中では上出来だった、試走でもこんなタイムは出なかった。しかし順位は268位で後ろから30番くらい、計画タイムより 12 分遅れてはいたが問題ないと言い聞かせた。エイドに戻りサポートとコーチがいてくれて気持ち が高まる。すぐにスタートしたい気持ちがあり補給食を急いで食べ行動食を入れ替えて出発、ここでもコーチから下りを飛ばさないよに念を押された。エイド時間は6分と悪くない。

 

2周目も淡々と進む。でも1周目より楽に感じるのはマイペースになったからか?ニュウもだいぶ楽に上がれたのでつい補給が忘れがちになっていた。ニュウの中盤からスネの筋肉が攣 りそうになっていたがなんとかごまかしながら折り返しまで来れた。すると今度は下りで前ももが攣りそうな気配があり少しペースを落としながらやり過ごす。ロードの下りと本沢林道は意識してペースを調整した。ずっと走れるペースよりちょっとだけゆっくりめで 下った。
2周目タイム  6:40:11 

計画タイムの5分遅れ、でも全然問題ない! 楽しいと感じていた。エイドに戻ってくるのが楽しみだった。サポート、コーチ、ペーサーの凪さん、Tomos Pitのマドマリさん、菅田さんみんな気遣ってくれる! 嬉しい! 嬉しすぎる! 足の違和感や痛みは全くなくて快調だった。でもここから夜パ ートになるのでウエアの着替えとシューズを履き替えた。足攣りの話をしたら塩分不足を 指摘され、まさにその通りだったので塩タブレットを多めに摂取した。

 

3周目、いよいよ暗くなり遅い自分は単独走が多くなる。でもこのレースはランナー同士のすれ違いが各所にあり交差するランナーから声をかけてもらえる。自分も声をかけるし相手も声をかけてくれる、当然みんな自分より早いランナーばかりだけどちゃんと激励してくれるのは嬉しかっ た。胃腸は全く問題なかったが食べる時間が惜しかった。でもなんとなくルーティーンができていた。ニュウの上りの前に inローヤルゼリーを入れて、分岐でアミノバイタルゼリーを入れた。他は歩きながらアンドゥとかナッツ類を食べながら歩いた、アンドゥはよく食べれた。

3 周目タイム  7:20:36

ちょっと時間はかかったものの大きなトラブルなくエイドに戻れた。計画より36分遅れたものの、やめたいとか行きたくないとかは微塵も感じなかった。楽しかった!。この周でシュ ーズを履き替えたが当たりが強い箇所があり、ホカのシューズに戻すようにお願いした。ここからはペーサーの凪さんが一緒だ!凪さんと行けば何とかなると思い始めた。

 

4周目、計画より1時間遅れていて7時間半で帰ってこないと4周戻りの制限時間に間に合わないという事を凪さんと話しながら周回を重ねた。調子は悪くない、ここで間に合わないなんてありえない。冷たい雨がずっと降り続いていたが寒さは感じなかった。凪さんとペース配分を話し合った結果、苦手なニュウはペースを上げずロードの上り坂も走らない、本沢エイドからちょっとだけペースを上げれば間に合うという事になって進んだ。そして本沢の下りに入りちょっとだけ頑張った。林道の終盤で凪さんが、「自分は先に降りてエイドでの必要事項を伝えるから このペースで下ってきてね」そう言って一人で下って行った。そこから単独になった。自分の中では同じペースで下っていたと思ったが無意識にペースが上がっていたのかもしれない。そして林道からロードに出て時計を見ながら焦る気持ちを抑えきれず上りも走ってしまった。少しでも早く着いて早く出発したいという気持ちが前面に出ていた。ここが自分のレースのターニングポイントだった...。 

4周目タイム  7:13:43
凪さんがいてくれたおかげで3周目より早いタイムで帰ってこれた。エイドで最後の準備をしてみんなが送り出してくれた、自分も完走するつもりでいた、泣きそうだった。 

 

5周目、若干の足の疲れはあるもののまだ動いてくれていた。でもロードの長い下りはキロ8まで落ちていた。そしてゼーハー言っているのに心拍が上がらない、寒い、このレースで初めて寒さを感じた。やばいと感じ、行きの本沢エイドで保温着とレインパンツを履いた、コース上で初めて座った。そしてようやく稲子湯エイドを通過してニュウのトレイルに入 った。上り始めた途端「アレ?おかしいぞ?」足が上がらない、無理に上げると股関節が痛む、一歩一歩が進まない。 その時「パチン!!」と感じるものがあった、4周目の本沢の下りで飛ばした影響だ!ヤッ ベ!、コーチにあれだけ口酸っぱく言われていたことをやってしまった...。でもこれは関門通過のためにどうしようもなかったことだが…、自分を悔やんだ、大きく悔やんだ。やっちま った...。 凪さんは優しかった、遅い自分の先にライトを当ててくれて見やすくしてくれたり、ぬかるみでバランスを崩して転倒したりするとすごく心配してくれた。まだ諦めないよと声掛け してくれた。レースが終わったと思ったのはニュウの分岐点だった、上りの途中からスイーパーが付いてきた、そのあたりから幻覚が沢山見え出した。スイーパーの方に聞いた「制限時間に間に合わなくても最後まで行っていいですか?」というと「大丈夫ですよ!最後まで頑張ってください」と声掛けしてくれた。ニュウの下りはドロドロ、ツルツルですごく時間がかかった、このままいけばゴ ールは21時を過ぎてしまう、ニュウの緩やかな下りに入ったところで凪さんに相談した、「稲子湯でやめますか?」と聞くと、それは自分で決めてくださいと言われた...。コーチに電話しようと思ったが携帯の充電がなくなっていて凪さんの携帯で電話してくれるようにお願いした。2022のMFで二十曲でコーチに電話したことが頭をよぎった、電話口でコーチは「よく頑張ったね、胸を張って帰っておいで」と言ってくれた、とぼとぼ歩きながら人知れず泣いた。 

その後、スイーパーの方に稲子湯エイドでDNFしますと伝えると無線でやり取りしてくれてトレイルを出てすぐのロードでピックアップしてくれることになった。 

 

リタイアバスでスタート地点に戻ってきた。みんなが温かく出迎えてくれた、泣かないので必死だった。ここで自分のKOUMIが終わった。 楽しかった、幸せだった、嬉しかった、DNFしたのに何でこんな感情になるんだろ?でも みんながいたからここまで来れた、自分一人だったら絶対に来れなかった、感謝しかない! 自分には全く歯が立たないと思っていたKOUMIだったが、5周目に行けたことは自分でもびっくりしている。そして途中で止めたいとか休みたいとか1秒たりとも思わなかった、途中のエイドもほとんど寄らなかった、スケートセンターの大エイドもとにかく早く出たかった、1分1秒が惜しかった。すべてがうまくはまっていたが一つのミスで完走を逃した。でもそれがKOUMI、それが100mile、コーチはそのことをしっかりと教えてくれていた。

もしかしたらこのレース、自分に合ってるかも知れない、もう来年のKOUMIは始まっている。

 

 

SpecialThanks 

サポート 

 塚崎さん
 小松さん(お二人はリレーで参加して 3 位入賞しました)
 菅田さん 

 マドマリさん

ペーサー

  凪さん 

大会ボラ 

 ちだっちさん

試走

 凪さん

 みっちゃん 

コーチ 

 トモさん